
『ロヨラ大学』HPより引用(2019/11/9)
https://www.luc.edu/archives/socialwork.shtml
今回は、バイステックが『ケースワークの原則』(1957)の中で示した、相談援助において援助者が遵守すべき7つの原則について紹介します。
多肢選択式での出題はもちろん、平成30年度の法務省専門職員採用試験の記述試験においても出題されるなど、バイステック7原則は頻出です。
・個別化の原則
「個別化の原則」とは、クライエントの問題や状況はそれぞれ違っているということを理解し、個別的に対応することです。
たとえ同じような事例だとしても、決まった解決方法があるのではなく、一人ひとりに合う援助は違うということを理解しておかなければなりません。
・意図的な感情表出の原則
「意図的な感情表出の原則」とは、クライエントが否定的な感情も含めてあらゆる感情を表出できるように働きかけることです。
そのため援助者は、クライエントがリラックスして話せるような環境を整え、話しやすいように質問を心がける必要があります。
・統制された情緒的関与の原則
「統制された情緒的関与の原則」とは、援助者が自身の感情について理解し、クライエントの感情に共感できるように自身の感情をコントロールすることです。
クライエントの感情に呑み込まれ、過度な感情移入をしないようにすることが大切です。
この原則だけはクライエントに関することではなく、援助者の自己統制に関することなので、勉強の際は混同しないように。
・受容の原則
「受容の原則」とは、クライエントの良い面も悪い面も、ありのまま受け入れることです。
たとえ援助者が共感できないような側面であっても、初めからそれを否定するのではなく、クライエントを理解しようとする姿勢が重要です。
・非審判的態度の原則
「非審判的態度の原則」とは、援助者はクライエントを一方的に非難せず、自分の価値観で善悪の判断をしないことです。
自分と違う考え方も非難せずに受け入れるという点で、「受容の原則」に近い考え方ですね。
・自己決定の原則
「自己決定の原則」とは、クライエントが自らの行動を決定できるように援助することです。
ただし、クライエント自身や他者に危害が及ぶような決定など、制限を必要とする場合もあります。
・秘密保持の原則
「秘密保持の原則」とは、クライエントの個人情報やプライバシーに関することを漏らさないことです。
援助が続いている間はもちろん、業務外や援助終結後であってもクライエントの情報を漏らしてはいけません。
・まとめ
相談援助の分野は、社会福祉学の中でも頻出の分野です。
バイステックの7原則も過去に何度も出題されているので、7原則すべてを説明できるようにしておきましょう。
参考文献
TAC社会福祉士受験対策研究会(2018)『2019年版みんなが欲しかった!社会福祉士の教科書 共通科目編』TAC出版.
TAC社会福祉士受験対策研究会(2018)『2019年版みんなが欲しかった!社会福祉士の教科書 専門科目編』TAC出版.
一般社団法人日本ソーシャルワーカー教育学校連盟(2018)『2019社会福祉士国家試験過去問解説集』中央法規出版.
フェリックス・P・バイステック著/尾崎新・福田俊子訳(2006)『ソーシャルワークの原則 新訳改訂版―援助関係を形成する技法』誠信書房.