福祉レジームとは、制度やシステムの違いによって、福祉国家の類型が決定するという考え方です。
デンマーク出身の社会学者エスピン・アンデルセンは、その著『福祉資本主義の3つの世界(1990)』において、3類型の福祉レジームを提唱しました。
福祉レジームは、脱商品化・階層化・脱家族化などの指標を用いて類型されます。

『Alchetron.com』より引用(2019/12/03)
https://alchetron.com/G%C3%B8sta-Esping-Andersen
・脱商品化
労働の有無にかかわらず、一定水準の生活ができるかどうかの度合い。
つまり、働けなくなったときでも、生活できるだけの福祉を得られる社会なのかどうか、ということです。
この考え方では、労働=商品とみなしているので、脱商品化という言葉が使われています。
・階層化
国民全員が等しく福祉を受けられるかどうかの度合い。
福祉が充実している国であれば、国民に平等な福祉を提供しているということなので、階層化度は低いと言えます。
・脱家族化
家族の支援の度合い。
日本を例に考えると、昔は家庭で家族が介護をすることが一般的でしたが、現在ではさまざまなサービスを利用しながら介護をするケースも多くなっています。
そのため、日本は脱家族化が進んできたと言えます。
もちろん、日本では家族の役割も重要視されるので、世界的に見れば脱商品化度は中程度といったところです。
自由主義レジーム
・家族や市場原理を重視
・脱商品化度:低い
・階層化度:高い
・所得格差が生まれやすい
・代表的な国:アメリカ、オーストラリア
社会民主主義レジーム
・国家の役割を重視
・脱商品化度:高い
・階層化度:低い
・高水準の福祉は高い税金によって賄う
・代表的な国:スウェーデン、デンマーク
保守主義レジーム
・家族や職域の役割を重視
・脱商品化度:中程度
・階層化度:高い
・職業によって得られる福祉が異なる
・代表的な国:ドイツ、フランス
参考文献
TAC社会福祉士受験対策研究会(2018)『2019年版みんなが欲しかった!社会福祉士の教科書 共通科目編』TAC出版.
TAC社会福祉士受験対策研究会(2018)『2019年版みんなが欲しかった!社会福祉士の教科書 専門科目編』TAC出版.
一般社団法人日本ソーシャルワーカー教育学校連盟(2018)『2019社会福祉士国家試験過去問解説集』中央法規出版.